【本】読了。東野圭吾『マスカレード・ホテル』(ネタバレなし)【読書感想文】
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自分が忘れっぽいということに度々感謝する瞬間がある。
本書、東野圭吾氏の『マスカレード・ホテル』を読むよりずいぶん前に、映画で『マスカレード・ホテル』を見ていたからだ。
本を購入する際に、映画で見たか、本を読んだか記憶していなくて読み始めることがある。
しかし、そのどちらも前のことを記憶していないということが多々ある。
自分に感謝だ。
『マスカレード・ホテル』を読み始めてすぐ、映画を見たことがある作品だと気づいた。
それは、主人公の一人である『新田刑事』が脳内で木村拓哉氏で再生されたからである。
しかし、細かいストーリーはあまり覚えていなかった。
ホテルものは好きである。
私自身がビジネスマナーや接遇が大好きということもあるが、そこに行き交う人々の様々な感情を垣間見るのが好きなのである。
行き交う人々の数だけ、ドラマがある。
今回は犯人が誰だったかという記憶はすっかり消えた状態で読み始めた。
新鮮である。
大まかな流れは映画と同じような気もしたが、細かい書き込みがやはりずいぶん違ったように思う。
ホテルマンはお客様の仮面を剥いではいけない
これは今まであまり知らなかった職業の部分であり、秘密を覗き見するような、そんな興奮も少しあった。
ホテルマンにとって、お客様の言う事は絶対である。
しかし、その根底にはきちんとした理由がある。
それを本書のヒロイン山岸尚美氏の行動により、深く知った気持ちになるのも心地よかった。
難解な事件だった。
最後まで犯人はわからなかった。
幾度も怪しいと思い、疑った。
ヒントらしきヒントは出ている気がするのだが、最後のピースが合わない。
次々と現れるお客様の仮面に翻弄され、最後の場面を迎えるまで、犯人の動機が思い当たらなかった。
気を張り詰めて読んでいたが、最後はどんでん返しをされたような気分を味わった。
伏線を回収しすぎているほど綺麗にパズルのピースが合わさる。
東野圭吾氏にしては、終わり方が儚くはなかったものの、読み終えたあとに爽快感が残る。
続きも購入しているので読むのが楽しみである。
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