【本】読了。柴田よしき『聖母の深き淵』

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初めての柴田よしきさんの作品でした。

実はこの『聖母の深き淵』はシリーズの2作目だったらしく・・・

本はいつもメルカリでまとめ買いをするので、2作目と知らずに読み進めてしまいました。

ですが、この本はこの本だけでも十分読めるストーリーであり、十分楽しむことができました。

1作目はRIKOー女神の永遠という作品だそうです。

 

1作目はまだ読んでいないので、2作目である、聖母(マドンナ)の深き淵についてのレビューです。

 

 

シリーズものとも知らなかったため、刑事モノであるとも知らずに読み始めました。

著者の柴田よしきさんは横溝正史賞を受賞している作家さんなので、期待もかなりありながら読み進めました。

そして、その期待は裏切られることもなく、いや、その期待を超えた作品でした。

 

刑事モノというとハードボイルドに寄りがち、男性が主人公のことも多いのですが、本作は女性が主人公です。

リコ。

そう、彼女の名はリコ。

 

登場シーンから、女性らしい母性愛の溢れる女性を連想しました。

だが、しかし、彼女はひたむきで、しなやかで、美しく。

また、泥臭くもあり、美しくもある。

女性とは多面体の生き物であると実感させるような像でした。

 

この本は『女性とは』『女性らしさとは』を淡々と訴えかけるような作品でもありました。

 

私の想像する女性像というのは、たおやかで、気弱で、控えめで。

女性とは頼りないものである、という像がどこか頭の片隅にいつでもあった気がします。

 

しかしながら本作品はこれでもかと、『生きる女性とは』を語りかけてきます。

女性であるがゆえの苦悩、辛さ、そして幸福。

次々と表情を変える人物たちに魅せられました。

肚に鉛を溜め込むような重苦しさを抱えながらも、それぞれの人生には愛があり、ストーリーがあるということ。

生きているということ。

人は惹き合い、惹かれ合いながら生きているということ。

心は一つの言葉では説明できないということ。

 

そして、すごく気になったことに、この本のストーリーと共に広がっていたサイドストーリー。

主役を食ってしまうのでは?と思われるほどの強烈なインパクトを与える存在が。

とても気になって、ネタバレしてもいいや、と調べたら、その存在が主役の派生ストーリーも書籍化されているらしい。

これは絶対読まねば・・・

 

大きく展開を変えて発展するようなストーリーではなかったけれど、ひたひたと人生を追っているような、そんな気持ちになるストーリーでした。

 

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Posted by bear-tan