【映画感想文】『酔拳2』感想―物語を超えて、カンフーそのものが主役になった映画【ネタバレあり】
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先日『酔拳』を観て、その面白さを改めて実感したベアたんである。
そして続けて鑑賞したのが『酔拳2』である。
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正直に言うと、この作品は前作とはかなり性格が異なる映画だと思った。
『酔拳』が未熟な若者の成長を描く王道のヒーロー映画だったとすれば、『酔拳2』はカンフーそのものを魅せるために作られたエンターテイメント作品である。
物語は主人公ウォン・フェイフォンが父親と共に旅をする中で、偶然にも中国の国宝密輸事件へ巻き込まれるところから始まる。
外国勢力によって国外へ持ち出されようとしている文化財を守るため、フェイフォンは巨大な陰謀へ立ち向かうことになる。
あらすじだけを見ると非常に真面目な物語である。
しかし実際に観てみると、作品全体の空気は前作よりもずっとコミカルで賑やかだ。
家族とのやり取り。
勘違いから生まれる騒動。
ドタバタ劇のような展開。
シリアスな事件を扱いながらも、全体としては肩の力を抜いて楽しめる作風になっている。
そのため、前作のような「少年が成長して英雄になる物語」を期待すると少し印象が違うかもしれない。
ストーリー単体で比較するなら、ベアたんは前作『酔拳』の方が完成度は高いように感じた。
未熟な主人公が厳しい修行を経て成長し、最後に強敵へ挑む。
あの王道の流れにはやはり普遍的な強さがある。
観客も主人公と一緒に悔しさを味わい、一緒に強くなっていくことができる。
だからこそ感情移入しやすく、物語として非常に美しいのである。
しかし、『酔拳2』は別の方向で完成されている。
この映画は極端な言い方をすれば、ストーリーを楽しむ映画というよりも、ジャッキー・チェンという稀代のアクションスターの身体能力を味わう映画なのだ。
そしてその完成度が異常なまでに高い。
ジャッキー・チェンの動きは前作以上に洗練されている。
速い。
正確である。
しかも美しい。
ただ敵を倒しているのではない。
身体そのものが踊っているように見える。
前作でもアクションは素晴らしかったが、本作ではさらに一段階上の領域へ到達しているように感じた。
特に印象的なのは、アクションシーンが単なる戦闘として描かれていないことである。
まるで演武を見ているようでもあり、舞台芸術を見ているようでもある。
相手との駆け引き。
絶妙な間合い。
次々に繰り出される技。
観客は「勝つか負けるか」だけでなく、「次はどんな動きを見せてくれるのか」という期待で画面に釘付けになる。
ここが現代のアクション映画との大きな違いだと思う。
近年のアクション映画は迫力を重視する傾向がある。
爆発があり、銃撃戦があり、CGによる超人的な戦闘がある。
もちろんそれも面白い。
しかし『酔拳2』には人間の身体そのものが持つ魅力がある。
編集や特殊効果ではなく、人間が実際に動いているからこそ生まれる説得力がある。
だから観ていて飽きないのである。
そして終盤の製鉄所での決戦は圧巻だった。
灼熱の工場を舞台に繰り広げられる死闘は、もはやカンフー映画史に残る名場面と言っても過言ではないだろう。
危険なスタント。
常識外れの身体能力。
そして酔拳の集大成とも言える動き。
映画を観ているというより、一つの伝説を目撃しているような感覚に近かった。
『酔拳』がヒーロー誕生の物語だとするなら、『酔拳2』はヒーロー映画ですらないのかもしれない。
そこにあるのはもっと純粋なものだ。
カンフーへの愛である。
アクションへの情熱である。
そしてジャッキー・チェンという表現者が持つ身体芸術の極致である。
ストーリーの完成度だけで語るなら、ベアたんは今でも前作『酔拳』を推したい。
しかしエンターテイメント作品としての完成度で語るなら、『酔拳2』もまた負けていない。
むしろアクション映画というジャンルそのものの頂点に立つ一本と言えるかもしれない。
物語を味わいたいなら『酔拳』。
カンフーを味わいたいなら『酔拳2』。
そんなふうに見比べると、この二作品の違いがより楽しめるのではないだろうか。
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