【本】読了。東野圭吾『天空の蜂』
好きだ。
この本は好きだ。
数ある東野圭吾氏の作品でも、私にとってこれは好きな書籍の1冊に入るだろう。
緊迫感がよかった。
まるでその場に居合わせて一緒に秒読みをしているかのような描写。
展開は遅々としているのに、細かい描写が多く、退屈しない。
犯人の目星がついてから、犯人の逮捕に至るまでが実に重い。
また、その重さが非常に心地よかったりする。
「原発と共に生きる」
私の住んでいる地区は、原発からは離れている。
しかし、この電気料金高騰の中、その原発のおかげで私はいつも通りの日常を営んでいる。
近くに住んでいない人からすると、意識から外れがちなその恩恵であるが、それは誰かの努力によって紡ぎ出されている。
原発というものを中の立場と外の立場から見ると、それは全く異なるものとなる。
その描写を東野圭吾氏は実に鮮やかに書き上げている。
普段見ることの出来ない、内側の気持ち。
原発といえば反対運動が盛んなことは誰でも知っている。
その、反対運動をする気持ちと、される側の気持ち。
こんなに深く考えたことがあっただろうか?
本書は少し専門的な言葉を用いながら、それをゆっくり解いている。
その専門用語の並びが「焦り」を感じさせることにも影響を与えている。
私には専門用語はわからない。
しかし、専門用語を用いることで「わからない大変なことが起こっている」という感情をさらに掻き立てる。
600ページ超えの本書だが、その厚みを忘れさせるほどの息を呑む展開だった。
じりじり、じわじわと犯人に近づいていく様、そのタイムリミットの短さ。
この本は、好きである。
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