【映画感想文】救いと絶望のはざまで──映画『さがす』を三度観て【ネタバレあり】
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久しぶりに映画を見た。
と言っても、この映画を見るのは3周目である。
映画『さがす』
⏩️映画『さがす』
佐藤二朗氏主演のシリアスな映画である。
✄- – – – – – ネタバレあり – – – – – ✄
まず、俳優それぞれの演技力がすごかった。
佐藤二朗氏はコミカルな演技にも定評があるが、私はこうしたシリアスな演技の方が好きだ。
父子家庭の父を佐藤氏は演じているが、実に現実感があってよい。
よくいる家庭の駄目父、といった役どころだろうか。
この駄目父が失踪し、娘がそれを探すというストーリーであるが、初見のときは全く展開が読めなかった。
父は駄目父ではあるが、ストーリーを追うごとに、なぜ彼がそうなったのかを知ることができる。
全く意外な過去が隠されているのである。
娘の様子だけをみていると、少し貧困家庭の普通の少女であり、駄目父であっても父との絆が強い様子が垣間見える。
だが、娘はいつから気がついていただろうか、父親の所業を。
人はどこから狂うのだろう?
心の隙間に、間違った僅かな光が届いてしまうと、もうそれは藁をも掴む思いでしがみついてしまうのだろう。
この映画はそうした心の隙間にある影をうまく描写していると思う。
この映画をよりリアルなようでリアルから引き剥がしているのは、清水尋也氏の演ずるあの眼差しだと思う。
サイコパスがサイコパスたる瞳の輝きを、彼は最高の演技で示してくれる。
映画全体が彼の狂気によって支配されている感覚もある。
ゾクゾクする演技である。
もし身近に狂人がいたら、きっとこういう表情をしているのだろう。
レビューを見ていると、時系列が過去に戻ったり現在に戻ったりをしているので混乱している人もいたようだが、私としては煽られるような感触で非常に展開がよかった。
長い推理小説を一枚ずつ捲って読んでいるかのような錯覚に陥った。
映画を通して、いろいろな動きがあったが、その動きたちが最後に伏線として回収されるのも非常に気持ちよかった。
最近見たサスペンス・推理系の中では一番面白かった。
これは見て文句のない映画だと思う。
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