【映画感想文】映画『でっちあげ』誰が悪いのか――【ネタバレあり】
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久しぶりに映画に行ってきました。
先入観なしで見たかったので、原作も前評判も、事件の流れも何も見ずに行きました。
映画『でっちあげ』
福岡で約20年前に起きた、実際の事件を元にしたルポタージュの映画化です。
✄- – – – – – ネタバレあり – – – – – ✄
冒頭30分近く、綾野剛演じる教師の、暴力、いじめのシーンが展開します。
私は何の情報も持たずに見始めたため、その高い演技力に、これが真実なのだと脳内にしっかり叩き込まれました。
それは、児童が耐えうる暴力の域を超えており、昭和の時代でもこんな教師はいなかった、と震撼しました。
教師の目は狂気を描いており、とても演技だと思えないクオリティーに鳥肌が立ちました。
しかし。
一転して、教師の目線の映像に切り替わります。
そこには普通の教師がおり、普通の暮らしであり、本当に普通の、よくあるクラスの出来事が描かれていました。
そんな”日常”を壊したのは、子どものついた小さな小さな嘘。
嘘を信じた児童の母はモンスターペアレント化し、この教師を追い詰めていきます。
ストーリーを見ていて感じたのは、この母はミュンヒハウゼン症候群ではないのか?ということです。
よく似たタイプの人を身近で見たことがあるのですが、それに似たものを感じました。
モンスターペアレント化した母親は、マスコミや世間も巻き込んで教師を責め、追い込んでいきます。
その後、なんとか弁護士と出会い、裁判には勝訴し、10年後に無罪が確定するのですが・・・
ここで観客は問われます。
『一体誰が一番悪いのか?』
『もしこれが自分だったらどうするのか?』
映画を通して見たのは、マスコミの力というものは大きいということ。
確かに、実際の生活でも、マスコミが悪と決めつけて報道しているものは、その背景までわからずとも、同調して批判してしまうような気がします。
その声が徐々に大きくなると、もう逆らえない流れになることも、普段の報道などでも目にすることがあります。
今はSNSなどが発達しているので、この事件が今起きてしまったら、もっと大きな流れになってしまうと思います。
マスコミや世間の声が正しいとは限らない。
誰が、どこで、嘘をついているのか。
何が、真実なのか。
見落としがちになるこの世界の片鱗を、映画の中でよく表現されていたと思います。
惜しいと思ったのは後半部分。
もっとでっちあげに走った母親の動機などの展開があれば、すっきりした気持ちにはなったんだと思います。
しかし、実話を元に描いたルポタージュですから、余計な脚色や付け足しをしなかったことが、逆にこの映画を心にリアルに刻んだのかもしれません。
事件から20年経過しているという。
このタイミングで映画化してくれたというのは本当によかったことだと思います。
今現在も教育現場で問題になっている、どこにでも起こり得る問題。
他人事ではない、ということを、ぜひこの映画を見て胸に刻み込んでほしいと思いました。
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